この記事を読んでいるあなたは、
- DAO(分散型自律組織)とは?
- DAO(分散型自律組織)の代表的な事例を知りたい
- DAO(分散型自律組織)はなぜ注目されているの?
上記のように考えているかもしれません。
この記事では「DAO(分散型自律組織)の概要や特徴、代表事例やメリットデメリット」などについてお伝えしていきます。
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DAO(分散型自律組織)とは
DAOとは日本語で「分散型自律組織」と言い、世界中の人々がブロックチェーン上で管理・運営する組織のことです。
DAOは従来の株式会社のような中央管理者がおらず、組織に参加しているメンバーで意思決定するというのが最大の特徴となっています。
DAOに参加する条件としては、ガバナンストークンを持っていることであり、保有していれば誰でも組織の意思決定に関わることが可能です。
DAOの歴史
DAOの歴史は2013年~2014年頃から始まったと言われ、その起源は中央銀行のような管理者を持たない仮想通貨ビットコインの仕組みにあります。
ビットコインは2008年にサトシ・サカモト氏が構想と論文を発表し、2009年に世界で初めてリリースされた仮想通貨です。
DAOの概念はDACという非中央集権的な企業が始まりとされ、これを提唱したのはロシア系カナダ人の起業家ヴィタリック・プテリンだと言われています。
従来の組織との違い
DAOと従来の組織との違いについて、以下の表にまとめました。
DAO | 従来の組織 | |
---|---|---|
方針決定方法 | DAOメンバーによる投票 | 投票、あるいは決定権を持つ個人およびグループによる判断 |
投票結果の反映 | 投票は仲介者なしに集計され、投票結果による施策は自動的に実行される | 投票が許されている場合、投票は内部関係者によって集計され施策は人為的に実行される |
サービス提供方法 | 提供されるサービスは分散型の手法で自動的に処理される | サービス提供にあたり人の介入や中央集権的なシステムが必要となり人為的になりやすい |
情報の透明性 | 全ての活動履歴は公開されており情報の透明性が高い | 通常、活動履歴は秘匿され公開されたとしても一部の情報に限定される |
DAOは組織の意思決定がコミュニティの投票によって行われ自動的に施策が実行されることに対し、従来の組織では決定権を持つ一部の人間の判断により意思決定がなされ、施策も人為的になるということがわかります。
これは、DAOが従来の組織よりも透明性が高く民主制の強い組織であるということです。
また、DAOの組織構造として「自動的に処理」や「仲介者なし」と言ったワードが登場するのは、スマートコントラクトが動作しているということであり、従来の組織との大きな違いにもなっています。
DAOの特徴・仕組み
DAOの特徴として、以下のようなものがあります。
- 組織の中央管理者がいない
- ガバナンストークンが意思決定に活用される
- 年齢や国籍関係なく誰でも参加できる
組織の中央管理者がいない
DAOには、中央管理者が不在の組織であるという特徴があります。
DAOでは、特定のリーダーが存在せず、運営方針はコミュニティメンバーで決定します。
中央管理者がいなくても運営できる組織を実現するためには、ブロックチェーンの「スマートコントラクト」という技術の開発が必要不可欠でした。
スマートコントラクトとは、あらかじめ設定されたルールに従い契約を自動的に履行する仕組みのことです。
スマートコントラクトにより中央管理者が不在でも組織の運営がコミュニティメンバーで決定することが可能になったという背景があります。
ガバナンストークンが意思決定に活用される
DAOでは、ガバナンストークンが意思決定に活用されます。
ガバナンストークンとは暗号資産の一種であり、ガバナンストークン所有者はDAOの組織運営に関する提案や意思決定に関わる投票を行うことが可能となっています。
また、ガバナンストークンはDAOの中だけでなく仮想通貨取引所やDEXで取引されているものもあり、保有していると投資対象として注目が集まったり市場価格が値上がりするなどのメリットもあります。
DAOに参加したい場合はまずガバナンストークンの購入が必要不可欠です。
年齢や国籍関係なく誰でも参加できる
DAOでは、年齢や国籍に関係なく誰でも参加することができます。
従来の組織に参加するためには面接や採用試験などを通過し、雇用契約を結ぶ必要がありますが、DAOはその必要はありません。
DAOへの参加条件はガバナンストークンを保有していることだけであるため、年齢や国籍関係なく誰でも参加することができます。
例えばプロジェクトにとって有益な力を持っていないファンのような立場の人も意思決定に関わるチャンスを得ることができるため、多くの人から注目されています。
DAOが注目されている理由
DAOが注目されている理由には、以下のようなものがあります。
- メタバースやNFTが普及しているため
- DeFi市場が発展しているため
- 誰でも作成し運営できるため
メタバースやNFTが普及しているため
メタバースやNFTの普及により、DAOの注目度が高まっています。
メタバースとは、アバターを介して利用するネット上に構築された3次元空間のことであり「Axie Infinity」や「The SandBox」などのゲームが有名です。
一方NFTとは、ブロックチェーン技術により改ざんや代替えができないトークンのことであり、アートやゲームの分野で利用されています。
どちらも近年目覚ましい普及をみせており、それが故に初期投資コストが高騰している点が課題となっていました。
これを解決したのがYGGと呼ばれるDAOであり、初期投資を下げることに成功しています。
このようにメタバースやNFT、仮想通貨などが発展し、社会的にこれらのテクノロジーに関心が集まったことで、DAOも一緒に注目されるようになっています。
DeFi市場が発展しているため
DeFi市場が発展しているため、DAOの注目が高まっています。
DeFiとは、分散型金融とも言い、ブロックチェーン上に構築された金融サービスのことです。
DeFiは中央集権的な組織である銀行や政府を介さずに利用することができ、DeFiの仕組みは分散型自立組織そのものと言えます。
現在のビットコインは取引所が仮想通貨と現実通貨を換金するようになっていますが、登場当初はDeFiの仕組みを活用しており、多くはDAOによって成立しています。
そのため、2020年にDeFi市場が急激に発展したことから、DAOも一緒に注目されるようになりました。
誰でも作成し運営できるため
DAOは誰でも作成し運営できることから、注目が高まっています。
DAOは運営参加へのハードルが低く、誰でも簡単に組織の立ち上げが可能という特徴があります。
また、匿名での参加も可能なため、参加者は本人証明することなく組織の運営や立ち上げができる点が従来の組織との大きな違いであり強味と言えます。
そのため、DAOの仕組みに共感を持った人々が独自の組織を立ち上げ、コミュニティメンバーやその関係者を介して注目度も高まったという背景があります。
DAOのメリット
DAOのメリットには、以下のようなものがあります。
- 組織の運営状況の透明性が高い
- 効率的に資金調達を行うことができる
- 働きによってインセンティブを受け取れる
組織の運営状況の透明性が高い
DAOは運営状況の透明性が高く、どんなルールで運営されているのかを把握することができます。
従来の組織では、すべてのルールが公開されている場合は極端少なく、社員や外部の者がすべてのルールを確認することは不可能に近いため、組織の運営状況の透明性は低くなりがちでした。
しかし、DAOはスマートコントラクトによって実行されている為、ソースコードを見れば誰でも簡単に運営内容を確認することが可能です。
そのため、組織がどういったルールで進んでいるのかをすぐに理解することができ、運営状況の透明性が高くなっています。
効率的に資金調達を行うことができる
DAOは、ガバナンストークンの発行などにより効率的に資金調達を行うことができます。
DAOはスマートコントラクトを通して資金調達を行うため、非常に効率的に資金調達することが可能となっています。
一般的にDAOはパブリック・ブロックチェーン上に構築されており、ガバナンストークンの発行で資金調達を行うことができます。
この方法は従来の資金調達方法に比べて非常にシンプルであり、低コストで進めることが可能です。
働きによってインセンティブを受け取れる
DAOは、働きによってインセンティブを受け取ることができる仕組みになっています。
DAOのコミュニティメンバーは、自分が魅力的だと感じる方法や報酬でDAOに貢献することが可能であり、自分で労働を選択することができます。
このようなアプローチで進めることにより、DAOにおいてコミュニティメンバーは自身でインセンティブを整えることが可能となります。
運営者や役員からの命令で運営に関わるのではなく、自身の提案で組織運営できることもDAOの大きなメリットと言えます。
DAOのデメリット・問題点
DAOのデメリットや問題点として、以下のようなものがあります。
- 法整備が追いついていない
- ハッキングや不正行為のリスクがある
- 意思決定や問題への対処に時間がかかる
法整備が追いついていない
日本だけでなく様々な国や地域でも、DAOに関する法整備が追いついていません。
DAOはまだまだ発展途上の段階であり、現時点で既存の法律の管轄外で運営されています。
そのため、多くの国家や地域において法整備が整っていないことが現状であり、セキュリティ対策が十分でない場合が多くあります。
万が一ハッキング被害などに遭い資金が持ち逃げされても打つ手がなく、DAOにおける大きな課題の1つとなっています。
ハッキングや不正行為のリスクがある
DAOは、ハッキングや不正行為のリスクがあります。
2016年6月、イーサリアム上のDAO「The DAO」がハッキング被害に遭い、日本円しておよそ52億円が盗まれるという事件が起きました。
事件の原因となったのは「The DAO」のプログラムの欠陥をハッカーに攻撃されたことが発端であり、事件によりDAOのハッキングによるリスクが明るみになりました。
このようにDAOは、ハッキング被害や不正行為のリスクがあるということを念頭に置く必要があります。
意思決定や問題への対処に時間がかかる
DAOは意思決定や問題への対処に時間がかかる点がデメリットと言えます。
DAOはリーダーが存在せず民主的に運営される組織のため、意思決定の際に多くの時間を要する傾向にあります。
DAOではどんな判断でも都度投票が必要であり、意思決定の投票を省いてしまうとDAOの組織とは言なくなるためです。
もしも緊急的な事態が発生した場合でも投票が必要となるため、素早く対策できないということが起こり得ます。
DAOの代表的事例
DAOの代表的な事例を紹介します。
ビットコイン
出典:https://bitcoin.org/ja/
ビットコインとは、世界初のブロックチェーン技術を用いたデジタル通貨です。
ビットコインはDAOの仕組みである中央集権的な管理者が存在しない仮想通貨であり、ブロックチェーン上の決められたルールに従い自動運営されています。
また、取引の情報がブロックチェーン上で閲覧が可能なため、透明性が高いDAOの代表的な一例だと言えます。
ただし、ビットコインのマイニングには専用のマシンが必要であり、新規参入は困難を極めることが現状です。
イーサリアム
出典:https://ethereum.org/ja/
イーサリアムとは、スマートコントラクトやブロックチェーン技術が備わったプラットフォームです。
イーサリアムは2013年にロシア系カナダ人のヴィタリック・ブテリン氏により提案されたものであり、リリースから瞬く間に人気を集めました。
また、イーサリアム内で利用できる独自の仮想通貨はイーサと呼ばれ、ビットコインに次ぐ時価総額第2位の人気銘柄となっています。
そんなイーサリアムも管理と運用がパブリックブロックチェーン上のプログラムに任されているため、DAOの一例と言えます。
MakerDAO
出典:https://makerdao.com/ja/
MakerDAOとは、ステーブルコインであるDAIを発行できるDeFiプロトコルです。
ステーブルコインは一般に法定通貨の価値と連動した仮想通貨のことであり、DAIはドルと連動している通貨となっています。
また、MakerDAOでは「MKR」というガバナンストークンを利用しており、DAO内で意思決定に関わる際必要になる通貨です。
MKRは複数の国内取引所でも上場しているため、日本人にも投資しやすいプロジェクトとなっています。
PleasrDAO
出典:https://pleasr.org/
PleasrDAOとはNFTの収集をするDAOであり、投資家同士が資金を出し合いNFTを購入しています。
ちなみにNFTとは日本語で「非代替性トークン」と言い、ブロックチェーン上で画像や動画の権利をやり取りする際に用いられる仮想通貨です。
そんなPleasrDAOはDeFiプロトコル「Cream Finance」からNFTを担保にして仮想通貨を借りたことで知名度を上げたことでも有名です。
この方法で資金の借り入れに成功したのDAOの中でPleasrDAOが初めてだと言われています。
Compound Grants
出典:https://compound.finance/
Compound Grantsとは、レンディングプラットフォームとして利用されているイーサリアム上に構築されたDAOであり、2023年1月に運用が開始されました。
レンディングとは仮想通貨の貸し借りができることを言い、利用するとCompoundのトークンであるCOMPを受け取ることができます。
COMPは、海外取引所であるCoinbase ExchangeやBinanceでの取引が可能です。
Augur
出典:https://www.augur.net/
Augurとは分散型予測市場プラットフォームのことであり、参加者はさまざまな予測に対して投票で参加することができます。
予想が当たれば、トークンを受け取ることができる仕組みが支持されています。
例としては「次の米国大統領選挙では誰が当選するか」といったことを予想し、当てるといった具合です。
Augurのトークンは以前コインチェックで取り扱いがありましたが、金融庁に匿名通貨とみなされたことで上場廃止が言い渡されています。
NInjaDAO
出典:https://www.ninja-dao.com/
NinjaDAOとは自由に商用利用できるキャラクターの公式コミュニティであり、NFTや漫画、ゲームなどの様々場面でキャラクターを活用することができるDAOです。
NinjaDAOは日本最大級であり、コミュニティメンバーは65,000人以上に上る人気のDAOとなっています。
NinjaDAOの特徴としては、誰でも参加可能であり、様々なプロジェクトと出会える点などが挙げられます。
今後も企画が盛りだくさんに用意されているというNinjaDAOのプロジェクトに期待しましょう。
和組DAO
出典:https://wagumi.xyz/
和組DAOとは、DeFiやNFTなどに関心のある起業家たちが参加しているオープンコミュニティDAOです。
2022年2月時点での和組DAOのコミュニティメンバーは3,700人に上り、今最も注目されているDAOのひとつとなっています。
和組DAOの大きな目的としては「Web3に理解のある日本人を増やすこと」とされており、今後さらに参加メンバーを増やしていくことが想定されています。
DAOの将来性/今後の展望
DAOの将来性や今後について解説します。
さまざまな業界・業種でDAOが普及する
今後、DAOはさまざまな業種で普及すると考えられます。
DAOは透明性が高い仕組みのため特に非営利活動との相性が良く、今後も様々な業種で利用が進んでいくと予想されています。
実際にDAOの数は2021年5月時点で700ほどでしたが、およそ1年後の2022年6月時点では6,000以上となっており、約8倍増加しているというデータもあります。
現時点でのDAOの普及率はまだまだですが、近い将来多くのDAOプロジェクトの活動が注目していくことになります。
DAOのカバナンストークンの価格が上昇する
今後のDAOの注目により、ガバナンストークンの価格が上昇すると考えられます。
DAOへの注目と比例して、組織の運営に関わる決定権であるガバナンストークンの価格も上昇することが予想されます。
ガバナンストークンの価格が上昇すると、DAOの運営に関わる参加者に対する特典や配当金も充実していくと予想できます。
この流れが更なる広がりを見せ、DAOの発展に繋がっていきます。
DAOに関してよくある質問
DAOの関してよくある質問を紹介します。
The DAO事件とは?
The DAO事件とは、イーサリアム上に作成された「The DAO」がセキュリティを突破され、日本円しておよそ52億円を盗まれた事件のことです。
The DAO事件は2016年に発生し、仮想通貨業界に大きな衝撃を与えました。
事件の影響でブロックチェーン技術やスマートコントラクトへの信頼が崩れ、ブロックチェーンプロジェクトへの警戒感が高まるきっかけとなりました。
前澤社長のMZDAOとは?DAOなの?
前澤社長が設立した「MZDAO」はDAOではありません。
ZOZO創業者の前澤友作氏が2022年7月に立ちあげた「MZDAO」は仮想通貨分野で使われるDAOではなく、オンラインコミュニティです。
月額500円を払うことで誰でも参加できるコミュニティですが、ブロックチェーン上で構築されているわけではなくガバナンストークンの発行、更にDAOに必要な投票システムもありません。
DAOに参加する方法は?
DAOに参加するには、ガバナンストークンを購入するか、すでに参加しているメンバーからガバナンストークンを受け取る必要があります。
DAOは国籍や性別に関係なく誰でも参加することができますが、参加するにはガバナンストークンが必要不可欠です。
また、ガバナンストークンを受け取るにはトークンを保管するMetaMaskというウォレットも必要となってきます。
しかしこれはあくまで組織の運営に対しての投票に参加したい場合であり、MetaMaskなしで参加できるDAOも多くあります。
DAOを始める方法は?
DAOを始める大まかな手順は、以下の通りです。
- 仮想通貨取引所の口座開設をする
- 取引所やMetaMaskなどの専用ウォレットに送金する
- 送金した通貨でガバナンストークンやNFTを購入する
- DAOに参加する
DAOを始めるにはまず、仮想通貨取引所の口座開設が必須となります。
その後はガバナンストークンを購入し、DAOに参加するという流れが一般的です。
DAOの概要や代表事例まとめ
この記事では「DAO(分散型自律組織)の概要や特徴、代表事例やメリットデメリット」などについてお伝えしてきました。
DAOとは、従来の株式会社のような中央管理者を立てず、参加しているメンバーの投票により意思決定をする組織であることがわかりました。
DAOの代表例としてはビットコインやイーサリアムなどがあり、今後は様々な業界・業種で普及していくことが予想されます。
今注目のDAOに参加し、組織の運営に関わってみてはいかがでしょうか。
なお、おすすめの国内仮想通貨取引所ランキングは以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。