セキュリティトークン(ST)とは?仕組みや種類、メリットや活用事例をわかりやすく解説

セキュリティトークン(ST)とは?仕組みや種類、メリットや活用事例をわかりやすく解説

この記事を読んでいるあなたは、

  • セキュリティトークンの仕組みや種類を知りたい
  • セキュリティトークンのメリットや課題を知りたい
  • セキュリティトークンの活用事例や将来性を知りたい

上記のように考えているかもしれません。

今回は、そんなあなたに向けて「セキュリティトークンの仕組みや種類、活用例や将来性」などをお伝えしていきます。

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目次

セキュリティトークン(ST)とは

セキュリティトークン

セキュリティトークン(ST)とは、ブロックチェーン上で発行・管理されるデジタルデータです。

身近なところでいうと、ワンタイムパスワードを生成して認証する装置にもセキュリティトークンが使われています。

ワンタイムパスワードはセキュリティトークンのシリアル番号とID関連付けされていて、トークンを利用することでパスワードが表示されます。

ほかにもセキュリティトークンが使われているところがあるので、知らず知らずのうちに利用していることも多いでしょう。

セキュリティトークンの仕組み

セキュリティトークンは時刻同期方式を採用されています。

セキュリティトークンと認証するサーバー側を同期しておくことで稼働する仕組みです。

また、ワンタイムパスワードは一度認証されると永久的に使えなくなります。

再利用できないことから、セキュリティレベルを上げたいときに効果的なのです。

セキュリティトークンのメリット

セキュリティトークンのメリット

セキュリティトークンのメリットを解説していきます。

STOが可能になる

セキュリティトークンを利用するとSTOができるようになります。

STOとはセキュリティトークンオファリングのことで、企業や団体が行う資金調達の一種です。

株式や社債、不動産などの有価証券がデジタル化され、ブロックチェーンを介して取引されます。

STOはブロックチェーンを使っているので24時間365日いつでも取引できるのが特徴です。

一般的な証券取引は平日9~15時と時間が短くなっています。

限られた時間でしか取引できないので利用しづらいのは一目瞭然です。

一方でSTOは夜中や早朝、休日も取引ができます。

また、STOはクライアントサーバーを介さないので即時性があるのも大きな特徴です。

各種の取引が即時決済されて、約定と決済がほぼ同時刻に行われます。

通常の証券取引だと2営業日程度かかることが多いので、STOが非常にスピーディであることがわかるでしょう。

STOはアメリカやドイツなど世界各国で普及が進んでいて、日本でも市場の拡大が期待される注目の資金調達法です。

スマートコントラクトを使える

セキュリティトークンがあればスマートコントラクトを使うことも可能です。

スマートコントラクトとは、人の手を介さずに自動で契約内容を実行してくれる仕組みのことを指します。

スマートコントラクトを利用する大きなメリットが透明性の高さです。

ネットワーク内の全コンピュータにデータが記録され、どのコンピュータからでも情報を確認できるようになります。

情報共有が簡単になって、そのうえ不正や改ざんなども防げるのが特徴です。

また、スマートコントラクトでは第三者が介入することもありません。

第三者が介入しないだけで時間が短縮されて、仲介手数料を支払う必要性もなくなります。

時間短縮とコスト削減になるので、スマートコントラクトを導入するメリットは非常に大きいです。

セキュリティトークンの種類

セキュリティトークンの種類

セキュリティトークンは大きく分けるとソフトウェアトークンとハードウェアトークンの2種類に分かれます。

それでは2種類のトークンについて詳しく解説していきます。

ソフトウェアトークン

ソフトウェアトークンとは専用のハードウェアが必要ないセキュリティトークンで、iOSやAndroidなどで利用できるスマホアプリが主流です。

ソフトウェアトークンが導入されているアプリは複数ありますが、以下のものが代表的です。

  • Google Authenticator
  • Microsoft Authenticator
  • VIP Access
  • スクウェア・エニックス ソフトウェアトークン

いずれもスマホに無料でインストールできます。

使い方は非常にシンプルで、たとえばGoogle Authenticatorの使い方は以下の通りです。

  1. アプリを起動する
  2. バーコードか手動のどちらかで認証用コードを生成する

設定が完了したあとは、指定のサイトにログインするとGoogle Authenticatorに二段階認証コードが送信されます。

だれでも使えるようなお手軽さがソフトウェアトークンの大きな魅力です。

また、ソフトウェアトークンはスマホアプリなので機会を持ち運ぶ必要がありません。

紛失のリスクを大幅に減らせるので、安全性が高いのもポイントです。

ハードウェアトークン

ハードウェアトークンとは物理的なデバイスを使ってワンタイムパスワードを発行するものです。

デバイスのサイズ感はポケットサイズが主流となっています。

たとえば、以下のようなハードウェアトークンが存在します。

トークン名特徴
クレジットカード型カードのような形状をしているので、財布やカードケースに収納しやすい。
キーホルダー型手の中に収まるほどのサイズ感で携帯しやすい。
パソコンとは独立していて、ボタンを押すと液晶画面にパスワードが表示される。
USB型パソコンのUSBに挿し込んで使える。
パソコンのログオンやリモートアクセスなどの鍵としても利用できる。
コイン型コイン型なので電子証に埋め込んで使える。
事務所や会社の入退出時に便利。

さまざまな利用方法があるので、あらゆる場所で役立ちます。

利便性に優れるハードウェアトークンですが、ソフトウェアトークンと違ってかたちがあるのがデメリットです。

仮にコイン型のハードウェアトークンを持ち歩いていて、紛失してしまうと一大事につながります。

認証手続きができないだけならまだ良いですが、悪意のある第三者に拾われると悪用されるかもしれません。

紛失から大きな事件につながることも十分に考えられるので、徹底的に管理する必要があります。

セキュリティトークンの活用分野

セキュリティトークンの活用分野

セキュリティトークンが活用されている分野や事例を紹介していきます。

ワンタイムパスワード

セキュリティトークンが使われている中でもっとも有名なのがワンタイムパスワードです。

ワンタイムパスワードは一度だけ使えるパスワードのことで、一定時間ごとに発行されます。

各種サービスのログインや口座の送金などあらゆるところで使われています。

ワンタイムパスワードの大きなメリットは、第三者による不正アクセスを防げるところです。

一度きりしか使えないワンタイムパスワードは、仮に第三者から奪われたとしても意味がありません。

誰かが悪用するころにはパスワードの期限も切れているのでログインすることは不可能です。

さらに、ワンタイムパスワードは有効期間が短く、基本的に30秒程度しか機能しません。

パスワードを見破ろうとしている悪者に時間的な余裕が与えられないところも効果的です。

デジタルサイン

セキュリティトークンを活用するとデジタルサインを利用することも可能です。

最近では契約の締結を電子で済ませる機会も増えてきています。

デジタルサインだと書類の印刷代や人的コスト、保管スペースなどさまざまなものが節約可能です。

コスト削減は企業の課題でもあるので、デジタルサインを導入するメリットは大きいと言えます。

ちなみにセキュリティトークンを用いると、2要素認証でを利用することが可能です。

「記憶」「所持」「生体情報」の3つの要素のうち、2つの要素を使用して認証するのでセキュリティレベルも問題ありません。

デジタル証券

セキュリティトークンはデジタル証券としても利用でき、資金調達に活用することもできます。

デジタル証券では実績が少ないベンチャー企業でも資金調達しやすいです。

そのうえ資産を小口化して取引することもできます。

資金調達に悩む人はデジタル証券を利用するのも良いでしょう。

企業のセキュリティトークン活用事例

セキュリティトークン活用事例

セキュリティトークンを活用している企業の活用事例を紹介していきます。

野村グループ

野村グループはセキュリティトークンを発行して「ibet」という管理システムを構築しました。

ibetはデジタル化されたさまざまな権利の発行や取引を可能にしたブロックチェーンプラットフォームです。

権利や取引方法がスマートコントラクトによってプログラム化されており、透明性の高い相対取引ができます。

さまざまな企業や投資家が参加していて、トークンの発行・売買・決済を行うことも可能です。

ibetは条件を満たせばクリアできるので、興味がある人は問い合わせてみると良いでしょう。

三井住友ファイナンシャルグループ

三井住友ファイナンシャルグループはSMBCグループとSBIグループとの共同出資によって証券の私設取引所を開設しました。

私設取引所は国内で3番目にあたります。

取引時間は東証より長く、午前8:20~16:00までです(東証の場合は9:00~15:00)。

2023年にはデジタル証券の取扱いを開始することも発表していて、これからますます注目が集まるでしょう。

大和証券グループ

大和証券グループはブロックチェーン技術を活用した「デジタル社債」発行の実証実験をLiquid Networkにおいて実施しました。

多くのセキュリティトークンでは、イーサリアムベースを使用しています。

しかし、大和証券グループの場合はビットコインのサイドチェーンを活用した「Liquid Network」で行っています。

Liquid Networkには日本の仮想通貨取引交換所(DMM BitcoinやHuobiなど)も参加していて、35社以上もの組織が加入済みです。

今後さらにシステム統合の予定もあるので、今後の盛り上がりに期待できます。

セキュリティトークンの課題と将来の展望

セキュリティトークンの未来

セキュリティトークンはこれまでになかった投資商品なので、今後多くの企業が注目するでしょう。

その結果、セキュリティトークンの認知度は上がることが予想されます。

ただ、このまま順調に進むわけではなく課題もあります。

特にDelivery Versus Payment(DVP)が問題です。

DVPとは、証券の受渡しと資金の支払を相互に行うことで決済の安全性を高める方法です。

資金決済を務める日本銀行とシステム接続が繋がっていることによって実現しています。

しかし、ブロックチェーンに関しては上記のような仕組みがありません。

ほかにも税制やコスト負担などの課題もあるので、未来が明るいとは断言できない状態です。

セキュリティトークンの仕組みや種類まとめ

セキュリティトークン

この記事では「セキュリティトークンの仕組みや種類、活用例や将来性」などについて解説してきました。

セキュリティトークンはブロックチェーン上で発行・管理されるデジタルデータのことです。

さまざまな場所で活用されていて、たとえばワンタイムパスワードやデジタルサインにも活用されています。

その利便性の高さから今後注目が集まり、より人気になる可能性は高いです。

大手企業はすでにセキュリティトークンを取り入れてさまざまな実証実験もしています。

まだまだ課題があるとはいえ成長も見込めるので、今後の動向を注目しておきましょう。

執筆者

「COIN TIMES」は、仮想通貨関連の基本情報やニュースについて発信するWebメディアです。

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